神山吠える-2016年3月

2016年 5月10日 更新〈第50回〉

 

米大統領選

共和党トランプ氏の    
外交政策に異議あり

~米国の国益にも敵う在日米軍の存在~

 

はじめに

 きのう(5月9日)翁長雄志沖縄県知事が訪米した。昨年5月の訪米以来、就任後2回目の訪米となる。昨年の訪米は、米政府や米国民に「辺野古新基地反対」を訴える為の訪米であったが、今回はそればかりではなく、本年10月に開催される4年に一度の「第6回世界のウチナンチュー大会」のPRを兼ねての訪米のようである。
 しかし、そうは言ってもワシントン滞在中は20年経っても未だに解決の見通しが全く立たない「普天間移設問題」を沖縄県知事として避けて行動する訳にはいかないだろう。むしろ「世界のウチナンチュー大会」のPRよりも「普天間移設問題」が翁長知事の頭の中心にあるのではないか。だからこそ県側は米政府関係者、特に国務・国防総省の高官や議会関係者との面会を訪米直前まで模索し続けたのである。
 昨年の知事の訪米時も沖縄県側は数か月前から国務省や国防総省の次官級との面会を強く要請していたがそれが敵わず、ようやく実現したのが国防総省は副次官補代理、国務省はさらに階級の低い日本部長との面会であった。
 それでも翁長知事は帰国時の記者会見や県議会では唯一マケイン氏との会見が実現し、マケイン氏が「機会があるごとに会う」と誘ったことを訪米のハイライトにして、「訪米は成功であった」と知事は繰り返し強調した。
 そこで当のマケイン氏が今回は翁長知事にどのような対応をするのか大いに気になるところだ。
 若し今回、知事とマケイン氏との会見が実現しなかった場合は、昨年訪米のハイライトとしていたマケイン氏との会見は、いわゆるこの程度でしかなかったことになり、仮に両氏の会見が実現したとしてもその内容が知事側の意に沿うものでない限り、昨年から繋がった再会の意義はほとんど見い出せないことになる。
 ついでに触れておく。翁長知事が選挙公約に掲げて、昨年4月にワシントンに開設した沖縄県ワシントン事務所のことだ。そのスタッフの動向がほとんど見えてこないが残念だ。沖縄二紙の現地外信ルポにも全く出てこない。
 同ワシントン事務所は重要な海外事務所であり、動いているのであればその活動状況は県民にも知らせて欲しいものだ。

 

米大統領選は民主党クリントン氏の勝利に期待

 さて、翁長知事の訪米も然ることながら今なんと言っても米国は大統領選一色に染まっている。特に全米の話題をかっさらっているのが共和党候補の指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ氏だ。69才、ニューヨーク市クイーンズ出身、不動産会社会長、政治経験は全くない異色の大統領候補である。
 さすがに安倍政権はトランプ氏の指名が確実になったことを受け、11月の本選に向けた分析やトランプ氏が大統領になった場合の対米外交方針など早くも検討に入ったようである。
 トランプ氏は日米安保条約をめぐって「日本が攻撃されれば米国がすぐに助けに行く。米国が攻撃されても日本は助けに来ない」と批判し、米軍が日本や韓国、ドイツを守っていることに見合ったものを得ていないと主張し、防衛費は全額日本側に負担させ、もし日本が米国の要求に応じなければ在日米軍の撤退を検討するという。実に恐ろしいことだ。本当にそれでいいだろうか。
 決してそうではない。米国が日本を含むアジア太平洋地域の平和と安定を守る、そのことは日米同盟そのものの意義であって、同時に米国自身の国益でもある筈だ。在日米軍が単に日本を守るだけで存在するという考え方は根本的な間違いである。
 すなわち米軍のアジア戦略、日本や韓国などとの連携は決して、日本や韓国を守るだけではなく米本土の防衛にも必要だからである。
 トランプ氏のように日米同盟を無視し、現実を直視しない大統領候補が出てきたことは、米国の同盟国日本として本当に悲しいことだ。若し、11月の本選でトランプ氏が勝利するようなことがあれば同盟国日本は間違いなく大きな負担を強いられることになろう。
 民主党の最有力候補とされるヒラリー・クリントン氏は「ロシアと中国は、世界的な同盟網が米国の戦略の強みだと分かっている。同盟に背を向ければロシア・中国に危険なシグナルを送ることになる。それによって米国と同盟国の安全が損なわれ、世界はより危険な状態になる」とトランプ氏の無知な外交政策を厳しく批判している。
 11月8日の米国大統領本選の行方は今尚、勝敗の予想が困難な情勢にあるが、日米同盟を強化する意味からもどうしてもヒラリー・クリントン氏に勝利して欲しいものだ。
 ただ、トランプ氏の主張が野心的で特異であっても彼の主張に多くの米国民が共鳴し、大統領候補にまで押し上げた現実があることは紛れもない事実であり、同盟国日本としてそのことは注意深く直視しておく必要があろう。

                         < 完 >

 

次回は6月1日更新。毎月1日定期更新。その他必要に応じて随時、適時に更新いたします。どうぞ、時折に本ブログをお開けください。

 

神山吉光 沖縄事務所 〒902-0068 那覇市真嘉比3丁目14番7号(602) フリーダイヤル 0120−885−989 本人直通 070−5536−8137 FAX 098−885−4570