神山吉光が吠える 題字

2016年 12月 15日 更新〈第57回〉

翁長知事の妙案 ―トランプ次期大統領との会見は本当に実現するのか―

はじめに

 「辺野古違憲確認訴訟」。最高裁は12月20日に原告・国側勝訴の方向で判断を下すようである。これで、本件は沖縄県側の敗訴という形で裁判では、一応、決着ということだ。
 ところが、実態としては辺野古問題が解決する訳ではない。翁長知事もあらゆる手段を駆使して、徹底抗戦の構えだという。この問題、先が不透明で本当に困ったものだ。
 さて、辺野古裁判から1ヶ月後の新年1月20日には、アメリカでは、世紀の異端児と言われるドナルド・トランプ氏が新大統領に就任する。それに連動して、翁長知事は、2月に訪米しトランプ新大統領との会談を模索しているようだ。では本当に「大統領・知事会談」が実現するのかどうか。盟友の下地常雄氏(日本経営者同友会会長)が、近日発売の弊誌「現代公論」冬季号と「新政界往来」12月号に寄稿しているので、今回(第57回)は、その論考の全文を紹介することにしよう。

 

翁長沖縄県知事の不見識

日本経営者同友会会長 下地常雄

 下地会長沖縄県の翁長知事は、米大統領選で共和党候補の実業家ドナルド・トランプ氏(70)が勝利したことを受け11月1日の定例記者会見の席で、トランプ氏との直接会談を申し入れるよう県のワシントン務所に指示したことを明らかにした。
 翁長知事は「沖縄問題は微妙な難しい問題なので、側近をはじめ、できたら本人に少しでも直接報告したい」とし、トランプ新政権が発足する2017年1月20日後の2月にも、訪米する方向で調整しているという。

翁長得意のパフォーマンス

 これが安倍首相の記者会見だと納得がいく。事実、安倍首相は過去にない異例のスピードで当選後のトランプ陣営と連絡を取り、会合日程を決めた。通常、元首は元首にしか会わない。一部例外はあるが、それが外交の慣例だ。
 それをあえて会おうと試みるのは、中身の伴わないパフォーマンスでしかない。
 一介の知事でしかない翁長氏が、米基地問題で大統領に文句を言うことができると思っているとしたら、その蛮勇を誉めるというより、見識のなさと純朴なまでの幼さに失望するしかない。そもそも大きな溝がある米国との外交案件は、根回しなしに話を進めるのは難しい。
 今回の件は、日本の元首である天皇陛下に外国の知事が面会を申し込むに等しい行為だ。門前払いされるようなことを何故するのか、理解に苦しむ。その程度の行政能力で基地問題を解決するというのは、悪い冗談でしかない。
 何よりトランプ次期米大統領の安全保障体制がどうなるのか、まだ未定だ。トランプ氏は「強い米軍」に向け海軍力も増強する方針だ。現在の米海軍が保有する250隻艦船を350隻体制にするという。
 だが、オバマ米大統領が方針とした米海軍力の6割を東アジアに回すというリバランス戦略が維持されるかどうかは、これからの案件だ。もしも、それがかなわず東アジアに力の空白が生じるような事態になれば、沖縄どころか日本の安全保障が荒海の中に放り込まれるリスクが存在する。
 そうした折に、沖縄だけの事情を優先するようなトランプ氏との直接会談を申し込むというのは、米新政権に間違ったメッセージを送ってしまいかねない。

政府の求心力を疑われる

 まずは安倍首相の訪米の成果を見届け、さらに沖縄の意向をくんだ日本の政治姿勢にまで昇華させた上でこそ、ホワイトハウスなり国務省との交渉の場が設定できるというものだ。断じて、沖縄だけが外交フライングするような失態を演じてはならない。米国に対しては、日本は国論を統一できないのかと政府の求心力を疑われ、中国に対しては日本政治の亀裂に付け込む隙を与えることにもなる。
 翁長知事のトランプ氏との会談申し入れは、複合的デメリットこそあれメリットは何もない。
 そもそも翁長知事が就任早々、米国に「沖縄県ワシントン事務所」を開設した時も違和感があった。同事務所の平安山英雄所長が不適正な査証(ビザ)で活動している問題で、平安山氏が翁長知事に「このままでは事務所を運営できない」と直訴してきていたことも今秋、判明したばかりだ。
 昨年4月の事務所開設以降、適正な就労ビザを取得できず、米政府や議会からも、まともに相手にされていない。直訴があったのは昨年末で、その後も動くに動けない呪縛状態が続いた。

外交の未熟さを露呈

 側近の無知に基づく外交的未熟さを露呈させたようなものだ。その政治的能力が問われる。
 自民党県議は9月の県議会一般質問で、ワシントン事務所の問題を追及。平成28年度予算で計上した約7400万円の事務所活動費のうち9割超が、コンサルタント会社に委託料として支払われている業務丸投げの実態を取り上げてもいる。
 自分たちが仕事できない分、コンサルタント会社を使わざるを得ないのだろうが、そのつけを税金でというのは虫が良すぎる話だ。
 高額な外国勤務手当を支給されている平安山氏に成果が乏しいことや、米事務所の費用対効果も追及されるべきだ。

【プロフィール】下地 常雄

1944年 沖縄宮古島生まれ。77年、日本経営者同友会設立。93年、ASEAN協会代表理事に就任。米大統領(レーガン大統領からオバマ大統領までの歴代大統領)やブータン王国首相、北マリアナ諸島テニアン市長などとも親交が深い国際人。テニアン経営顧問。レーガン大統領記念館国際委員。2009年、モンゴル政府の友好勲章(ノイフムダルメダル)受章。東南アジアにも幅広い人脈を持つ。関東地方更生保護事業協会評議員。法務大臣感謝状2回受賞。

現代公論と新政界往来

 <完> 



  

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