2017年 8月1日 更新 〈第65回〉

 昨年民進党が党名を変更し、党首に蓮舫氏を選出して、党のイメージ刷新を図ろうと今日まで精一杯に努力して来たことは周知のとおりだ。ところが蓮舫氏の代表辞任によって、それが完全に破綻してしまった。

 野党第一党の党首の資質が、蓮舫氏に本当に備っていたのかどうか。筆者は、今でもある種の疑問を抱く。実は繰り返して恐縮だが、二重国籍の問題だ。

 先に法務省は、民進党の蓮舫代表の二重国籍問題に関して、蓮舫代表は「(原則22歳までに国籍選択)期限後に義務を履行したとしても、これまでの間は国籍法上の義務に違反していたことは明白である。」と、蓮舫代表が同法の違反に該当することを法務大臣の立場で明らかにしていたが、その一方、蓮舫代表は辞意表明直前の7月18日、自身の台湾籍と日本籍の「二重国籍」問題をめぐり、昨年9月に台湾籍を離脱した上で、翌10月に日本国籍の選択宣言をしたことを示す戸籍謄本の一部などを開示した。

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<蓮舫氏が開示したのは、昨年9月13日付で台湾籍を離脱したと記された台湾当局発行の「国籍喪失許可証書」と日本の国籍法で定められた「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する旨の宣言」を同年10月7日に行ったことを示す東京都目黒区役所発行の[戸籍謄本]、そして、1987年に失効した台湾の旅券など数点の写しだ。家族に関する記載や署名などは、白く塗りつぶして公表した。>(産経新聞)

 国籍法は、二重国籍者に対して、原則22歳までに日本国籍か、外国籍かを選択することが義務づけられている。ところが、蓮舫氏は現在49歳、彼女が選択手続きを取ったのが昨年10月7日だった。

 従って、手続き前日までは野党第一党の党首にある者が法律違反をしていたことは明々白々である。蓮舫氏は説明不足は謝罪したが、しかし、法律違反をしていたことにはまだ謝罪していない。この問題は彼女が長く国会議員であり、また、一時期は国務大臣を務めていたことを考え合わせると、野党第一党の党首を辞任したとは言え、決して看過する訳にはいかない重大な問題である。

 詳細は省くが、問題が発覚した頃から蓮舫氏は「台湾籍は間違いなく抜いた」と断言し、「噂の流布は本当に悲しい」と不快感さえも示した。ところが、その後、手続きをした年齢が18歳から17歳に変わったり、台湾籍保有に言及した雑誌インタビューが発覚するなど、蓮舫氏は意味不明の説明を繰り返した。

 先の参院選の広報に「台湾籍から帰化」と明記したことが、公職選挙法に抵触する、との指摘もあったが不問にされた。

 日本政府は、「二重国籍」を認めていない。蓮舫氏が国籍を有していたもう一つの国(地域)、台湾は歴史的にも親日的な隣国(地域)だが、しかし、現に中国と並んで尖閣諸島の領有権を主張するなど、日本と台湾は互いに国益が相反する国家的な問題も抱えている。

 二重国籍であれば台湾との関係で、外交上、間違いなく何らかの疑念が生じるだろう。

 国の外交や、安全保障を全うすべき国会議員が、自らの国籍を曖昧にしたまま国会議員であり続けたことには大いに問題がある。それが将来、政権を担うかも知れない野党第一党の党首であればなおさらだ。辞任は当然の帰結である。

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蓮舫代表定例会見

辞意を表明する蓮舫代表

 もう一つ、どうしても理解できないのは、蓮舫氏が民進党の代表選の終盤、しかも投票締切日になって初めて自らの国籍問題の手続きに不備があったことを認めたことだ。有権者には投票前に事実を知る権利があるが、蓮舫氏はあろうことか有権者の権利を封じてしまった。

 彼女の白衣のイメージとは真逆である。選挙戦術だったとは通らない、蓮舫氏の人間性の一面を垣間見た感じだ。

 仮に、二重国籍を有する政治家が自衛隊の最高指揮官となる首相や、国家機密を大量に扱う国防相や外務相に就くことになれば、いったい日本はどうなるのか。

 代表選の投票日ではなく、立候補時点にでも彼女の二重国籍問題が明らかになっておれば、有権者の投票行動にも大きく影響したであろう。民進党の代表選は、一定期間延期にして有権者に冷静な判断材料を与えるべきであったが、どういう訳か当時の民進党執行部はそうしなかった。

 その裏返しのように、民進党は1年足らずに再び代表選を強いられるような事態に陥ってしまった。

 そもそも、辞意表明の記者会見に現れた蓮舫氏は真っ赤な顔をして「一議員に戻ります。努力してもっと学んで、もっと強くなる。多様な議員の声を一つにまとめ統率する力が不足していた。」と彼女自身が会見で認めているように、蓮舫氏には首相を目指す野党第一党の党首としての器も力量も充分ではなかった。その資質が備わっていなかったのである。

 さしずめ、蓮舫氏の代表辞任によって民進党のイメージ刷新は、計画破綻してしまった。民進党は、解党的出直しが叫ばれる中で、次の代表選で誰を党首に選ぶかが試金石になろう。

 <完> 

<次回予告>

9月から「初代沖縄開発庁長官『山中貞則わが想いわが沖縄』~筆者対談で明かされた沖縄戦後史の空白と史実の裏側~」を広範読者のご要望により、全4回で公開いたします。どうぞ、ご期待ください。

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次回は9月1日更新。毎月1日定期更新。その他必要に応じて随時、適時に更新いたします。どうぞ、時折に本ブログをお開きください。

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