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2018年 6月1日更新〈第75回〉 

 今回(第75回)は、5月28日発売の小誌『現代公論』夏季号の「編集後記」をそのまま配信することにします。
 どうぞ、末尾の小誌「夏季号」の「表紙」「目次」をご参照に最寄りの書店でお求めください。

苦渋の選択で誌面を翁長知事に配慮

 <翁長知事が病気療養中だ。5月10日現在、もう1ヶ月も超える。どうも平気を装うような症状ではなさそうである。回復は可能であろうが、そうであっても本号(夏季号)ではひとまず従来のような翁長県政の批判記事は全て取り下げることにした。

 その中でも2015年9月、翁長知事がスイス・ジュネーブの国連人権理事会で演説した経費を県に負担させたことは違法だとして、ジャーナリストや大学教授らが原告代表となって、翁長知事に経費の返還を求めた裁判は、相当な誌面を割いて扱う予定で作業を進めていた。

 国連人権理事会で発言が許されるのは政府関係者やNGO関係者などに限られ、知事に発言する資格はない。しかし、翁長氏は、沖縄県民を先住民族に認定させる活動をしているNGOの発言枠を借りて演説した。県は翁長氏の国連出張に当たり227万円を支出している。これが違法という訳だ。

 更に、原告代表らは「翁長知事は県の行政責任者としての立場で国連に行ったのではなく、自分のイデオロギーを述べたに過ぎない」と主張し、第一回口頭弁論が去る3月16日に那覇地裁で行われた。本誌編集部では、原告代理人の徳永信一弁護士から裁判資料も取り寄せて編集作業を進めていたが、翁長知事の重い体調不良の情報が入ったので、本号での扱いは断念することにした。

 その他にも知事経験者による独占インタビューの計画も進行していたが、川に溺れている犬を叩くようなもので、当面はそれも留保することにした。“武士の情け”である。本誌編集の全体を俯瞰している立場での苦渋の選択であった。

 翁長知事には早期に健康を回復し、また元気な姿で登庁し、山積している県政の課題解決に取り組んで欲しいものだ。11月知事選も大いに気になる。

衝撃の写真展『闇から光へ』

 日頃から、沖縄県立博物館・美術館の催事には関心を抱き、そして、入館時には催事のパンフに目を通すことにしている。

 その中に、沖縄戦後の「私宅監置」の実態を明らかにした「写真展・闇から光へ」(沖縄県精神福祉会連合会主催)というのがあったので、開催の初日には、取材のために早々と会場の博物館へ出かけて行った。

 先ずは写真を見て、「これが人間同士の生活なのか、また、社会はその状態を認めていたのか」という思いを強くした。そして、広く言えば、いかなる制度下であっても当時の日本国民・沖縄県民の倫理観まで疑ってしまった。

 「私宅監置制度」は、戦後日本では1950年に廃止されたが、日本から切り離された沖縄では1972年の「日本復帰」までそれが認められていた。

 当時の新聞が、「動物以下の扱い」と報じるほどに、隔離の状況は劣悪で、当事者の心身が深く傷つけられた。その尊厳は奪われたまま現在に至っている。

 写真展の中の多くの写真は、1964年に東京から派遣医として沖縄に来ていた岡庭武氏が撮影したもので、その後、故・吉川武彦氏(元琉球大学教授)が保管していたものである。吉川教授は生前に「(精神病者監護法)は、日本の社会がそういうものを求めていたという傾向はあったと思います。家族から考えれば、自分の子ども(病気)の姿を見せることが恥ずかしいというところから始まる。社会全体から見ると、うちの部落の中にそういう人間がいることを見せたくない。日本の中で、国民の意識としては、精神障害者がうろうろされるのは嫌なんですよね。偏見と言ってもいい。」と語っている。

 「私宅監置」によって、閉じ込められた人の思い、監置された苦しみは、その人にしか分からない。展示の写真は実に残酷で筆者は強い衝撃を受けた。

 日本本土には、精神障害者の医療体制が法的にも整っていたが、日本から切り離された沖縄にはそれがなく、沖縄独自の「琉球精神衛生法」で、私的監置はどこの家庭でも手続きさえすればそれが可能であった。

 戦後27年間に及んだ米国統治はあらゆる面で沖縄社会に大きな影を落としてきたが、沖縄の精神障害者は沖縄に生まれたということで、自らの身体と共に二重の不幸を背負わされたことになる。

 しかし、制度と政治的な理由ばかりか、その背景にあった社会と人々の道徳と倫理観も問われて然るべきではないのか。

 同写真展が開催された時には、既に本誌「夏季号」の骨骼が決まっていたので、本号では扱えなかったが、今後号において関係者の協力を得てこの問題は必ず特集したいと思う。2018年5月10日 記 >

 次回は近日中に更新。毎月1日に定期更新、その他必要に応じて随時、適時に更新いたします。どうぞ時折本ブログをお開きください。

神山吉光 沖縄事務所 〒902-0068 那覇市真嘉比3丁目14番7号(602) フリーダイヤル 0120−885−989 本人直通 070−5536−8137 FAX 098−885−4570

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  2018年「夏季号」目次概況   

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