解り安く、面白く、パンチの効いた時事評論

神山吉光が吠える

2014年9月1日更新・特別継続〈第20回〉

 

朝日の朝日による朝日新聞のなせる技

 朝日新聞の従軍慰安婦報道取り消し問題ーーーー ーー。
またかと言いたいこの朝日!!  朝日新聞は「韓国・済洲島で強制連行があったとする吉田清治氏(故人)の証言を1980年代から90年代に16回も報じたとされているが、今頃になってその記事が虚偽だと判断し、8月5日関連記事の全てを取り消した。その内容は もう 読者にも解りきっているので省略する。

もう一つの「朝日」の醜態

 ところで、今になって思えば、実は朝日新聞は従軍慰安婦問題で歴史を歪めた大誤報を重ねていた丁度その頃、もう一つの大きな失態を演じていた。それがあの有名な「サンゴ損傷捏造写真事件」である。いわゆる〝サンゴ写真事件〟と呼ばれた問題の写真と記事は、平成元年(1989年)4月20日の夕刊一面に載った、<写真89地球は何色>と題する自然保護キャンパーンの連載記事の一つだ。見出しは「K・Yって誰だ」で、巨大なアザミサンゴに彫り込んだ「K・Y」の文字と、この行為者を責めた内容の記事である。ご記憶の方も多いだろうが、改めてその記事を原文のまま再録しよう。

 <これは一体何のつもりだろう。沖縄・八重山郡島西表島の西端、崎山湾へ、長径8メートルという巨大なアザミサンゴの撮影に行った私たち同僚は、この「K・Y」のイニシャルを見つけたとき、しばし言葉を失った。巨大サンゴの発見は、7年前。水深15メートルのなだらかな斜面に、おわんを伏せたような形。高さ4メートル。周囲は20メートルもあって、世界最大とギネスブックも認め、環境庁はその翌年、周辺を、人の手を加えてはならない海洋初の「自然環境保全地域」と「海中特別地区」に指定した。たちまち有名になったことが、巨大サンゴを無残な姿にした。島を訪れるダイバーは年間3千人にも膨れあがって、よくみるとサンゴは、水中ナイフの傷やら、空気ボンベがぶつかった跡やらで、もはや満身傷だらけ。それもたやすく消えない傷なのだ。日本人は、落書きにかけてはいまや世界に冠たる民族かも知れない。だけどこれは、将来の人たちが見たら、80年代日本人の記念碑になるに違いない。百年単位で育ってきたものを、瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の・・・・・。にしても、一体「K・Y」ってだれだ>

 以上が記事の全文である。改めて言うまでもなく、朝日新聞はこの記事の中で巨大なアザミサンゴに「K・Y」と彫り込んだのは一体誰であるかと鋭く迫っている。つまり犯人捜しである。ところが驚くことなかれ、サンゴ礁に「K・Y」と彫り込んだ真犯人はこの写真の撮影者、朝日新聞東京本社写真部のカメラマン自身だったのである。しかも、記事までもが捏造記事であったことが判明し、当時大騒ぎとなった。そして、暇をおかずに当時の一柳東一郎社長が引責辞任に追い込まれた。これがいわゆる「サンゴ写真事件」、すなわち「朝日」の醜態であり、朝日の朝日による朝日新聞のなせる技だ。

「朝日」は読者に謝れ

 昨今の慰安婦報道取り消し問題に関して、ルポライターの鎌田慧氏は新聞の論考で「朝日新聞の失態は、この歴史に関わる誤報について、研究者の指摘を虚心に受け止めず、速やかに検証・訂正せず、読者に謝罪しなかったことにある。そうこうするうちに「慰安婦問題」は、日韓外交の重要な課題にせりあがってしまい、侵略との歴史認識は「自虐史観」に基づくと主張する人たちの攻撃にきちんと向かい合えなかった。」と批評したが、筆者も全く同感である。80年代90年代に朝日新聞の読者は、まんまと慰安婦問題の大誤報とサンゴ写真事件の捏造記事をダブルで読まされていたことになる。朝日は一般企業の不祥事のようにテレビカメラの前で深々と謝罪すべきである。朝日は8月5日の新聞で、確かに取材が不十分であったことを反省し、そしてその関連記事は取り消したが、しかし、読者への謝罪の文言は一切なかった。

日本から朝日新聞が消える日 90年代に閣文社から発行してベストセラーになった、『日本から朝日新聞が消える日』の著者 片岡正巳 氏は生前「朝日新聞の報道姿勢には常に傲慢がつきまとっている」と語っていたが、今回の慰安婦報道問題の対応でも朝日の〝我のみが正しい〟という傲慢な社風が強く感じられる。

 いみじくも 朝日新聞は朝日批判の第1人者で知られる評論家の片岡正巳氏がこの世を去った直後に記事の取り消しを発表した。片岡氏はその発表を待たずに逝ってしまった。なんと因縁な偶然だろう。