解り安く、面白く、パンチの効いた時事評論

神山吉光が吠える

2015年5月15日更新〈第35回〉

 

高まる憲法改正の足音
~国会で本格的な議論、大いに結構だ~

 

共産党を除く五党が一致

 内外メディアも大きく報じている通り、去る7日から衆議院の憲法審査会が動き出した。昨年12月の衆院選後初めて、憲法改正をめぐる実質的な審議が行われ自民党は大災害に対応する緊急事態条項を優先的に議論するよう主張したが、民主党は安部首相の「憲法観」を問題視して慎重姿勢を示した。
 同審査会では自民、民主、維新、公明、共産、次世代の6党が今後議論すべき内容に関して意見表明を行った。自民党は「緊急事態条項」「環境権など新しい人権」「財政規律条項」の3項目を優先的に議論するよう呼びかけた。特に、大規模災害時の国会議員の任期延長などを憲法にあらかじめ規定しておく為の緊急事態条項を最優先すべきだと述べ、結局、共産党を除く5党は、自民党が主張する3項目を議論する必要性は認めた。
 民主党は、首相が過去に「連合国軍総司令部(GHQ)の素人がたった8日間で作り上げた代物」と述べたことなどに言及。「まず立憲主義や『押しつけ憲法論』への各党の考え方も確認すべきだ」と主張し、維新の党は、道州制や首相公選制、一院制を実現すべきだと述べ、緊急事態条項も「喫緊の課題」だとした。
 公明党は、同党が掲げる「加憲」の対象として環境権や緊急事態条項を挙げる一方、「冷静かつ慎重に議論を進めていくべきだ」と強調した。
 共産党だけが、改正反対の立場を主張し、改憲のための憲法審査会を動かす必要はないことを表明。次世代の党は、改正項目の絞り込みを急ぐよう求めた。
 次回の審査会は早々と来る21日にも開催する方向で各党間の調整が行われ、また通算2回目となる地方公聴会も6月15日に高知市で開催することが決まり、いよいよ憲法改正の議論が本格的に始動したという感じだ。誠に結構なことである。
 さて、今回の審査会で共産党を強く全党が憲法改正の方向で議論することに歩調が整った事になるが、問題は護憲を旗印にしている社民党と共産党である。国際情勢と国内状況が激変している中で、日本だけが69年前に制定された憲法のままで本当にいいと言うのか。未来永刧に憲法は改正してはいけないと言うのか。また、どのような条件、状況下であれば社民党・共産党は憲法改正に賛成するというのか、今になっても全く不明だ。両党は国民に解り易く説明する責任がある。
 

憲法は決して「不磨の大典」ではない。

 この15年間だけでもフランス10回、ドイツ11回、スイスは23回も憲法を改正している。また、衆院法政局の調べによると、世界で成文の憲法を持つ180ヵ国の中で日本の憲法は14番目に古く、日本より古い憲法を持つ国も全て改正を1回以上は経験しているという。
 激動する世界情勢の中で、制定以来一度も改正されてない日本の憲法は、世界中でも古典的な存在と言える。時代の変革・社会情勢の変化に合致した、憲法の適時改正は当然であり、決して「不磨の大典」ではない。
 護憲政党が“憲法は国家権力を縛るためにある”と言うならば、それでは尚のこと現行憲法を改正して国家権力の縛りを益々強めるべきではないのか“護憲”には大きな矛盾を感じる。