解り安く、面白く、パンチの効いた時事評論

2015年9月1日更新 〈第40回〉

 

 普天間移設問題 

             沖縄県民は

                 真実を語って勝負しよう

~オール沖縄の「意見広告」に訂正を求める

 

間違った米軍施設全国比の表記

 去る8月30日(日)「沖縄『建白書』を実現し、未来を拓く島ぐるみ会議」と「ヘリ基地反対協議会」が広告主となって、「琉球新報」と「沖縄タイムス」に登載した「意見広告」を見て驚いた。米軍施設の全国比の表記に明らかな間違いがあるからだ。

<沖縄タイムス>

<沖縄タイムス>

<琉球新報>

<琉球新報>

 先ず、沖縄タイムスだが1頁全面のカラー広告で大見出しには「子供たちに残したいのは、『美ら海』です。軍事基地ではありません。」とあり、琉球新報も同じく1頁全面のカラー広告で大見出しが「この『美ら海』と一緒に平和に生き安心して暮らしたい」とある。この両紙にある大見出しは、広告主の主張であり、大見出しには、何の申し分もない、それなりに立派な表現である。

 ところが、両紙の「意見広告」には、広告本文の中にどうしても看過できない大きな間違いがある。これは、「琉球新報」では、本文中にある米軍施設の全国比のところで「・・・1972年の復帰時には59%、現在では74%の米軍基地が沖縄にあります」とした部分。また「沖縄タイムス」では、同じく本文中にある米軍施設の全国比のところで「戦後70年、本土復帰43年たった今でも、全国の0,6%の面積に過ぎない沖縄に73.8%の米軍基地が集中する現実は変わっておりません」とした部分だ。両紙の意見広告にあるこの部分は明らかに間違いである。73.8%と表記する場合は、「米軍専用基地」としなければならないが広告の中からは「専用」の2文字が抜けている。
 また、「米軍基地」とだけ表記する場合には、実態に従って23%と表記するのが正当であるが、広告には琉球新報が74%、沖縄タイムスが73.8%となっている。
 この「意見広告」はあきらかに間違いであり、この際、広告主と両紙には強く訂正を求める。
       (平成27年3月沖縄知事公室発行の沖縄の米軍及び自衛隊基地・統計資料集 参照)

 過日は、関東に在住する沖縄通の友人から現在もベストセラーになっている、「沖縄の不都合な真実」<大久保 潤、篠原章 著>に付箋をして送られてきたので、その付箋の一部分だけ紹介しよう。

軍事基地の83%は本土にある。

 米軍基地の割合は本土77パーセント(789平方キロメートル)、沖縄23パーセント(232平方キロメートル)です。本土には沖縄の3.4倍の米軍基地があります。自衛隊専用基地の割合は99パーセント(368平方キロメートル)沖縄1パーセント(3平方キロメートル)です。日米を合わせた軍事基地の割合は本土83パーセント(1157平方キロメートル)沖縄17パーセント(235平方キロメートル)です。

 沖縄県が発行する「資料集」の中でも同書が指摘するようにその数字が明確になっている。ただ、残念ながらメディアが解説的に丁寧に報じることをしないから「米軍基地73%」だけが独り歩きして、今日まで内外に大きな誤解を与えていることは、返す返すも残念でならない。海外でも大きな誤解があるようだ。従って、今回のオール沖縄関係の組織が出した意見広告は内外に誤解を増幅することにもなる。
 そのことは将来的にも決してよくない、必ず禍根が残る。沖縄県民は堂々と真実を語って勝負すべきである。

 「意見広告」は、他の営業広告とは異なって、媒体紙側の厳しい内容審査の上で登載するのが通例となっているが、今回の意見広告は広告主の意図というよりも、むしろ、媒体紙である「琉球新報」と「沖縄タイムス」の広告審査に瑕疵がある。
 今後、広告主側では、国内の全国紙、地方紙をはじめ、海外でも意見広告を出すようであり、速やかに訂正するよう重ねて強く要求する。
 誌幅は現在調整中ではあるが、この問題は筆者が責任編集者として発行している『現代公論』秋季号でも扱う予定にしている。

どうなる国と県の「集中協議」

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる政府と沖縄県の第4回目の集中協議が先日(29日)那覇市内で開かれた。協議期限は9月9日まで、その間、残された協議はあと1回だけだ。

 そろそろ着地点が見えてくるのではないかと期待していたが、どうもそれがなかなか見えてこない。新聞報道によると国と県は未だに普天間飛行場移設問題の原点について言い合っているようだ。そうであれば4回まで協議を重ねてきて全く前進していないということになる。関係者の中には初めから前進も後退もないところに、今回の集中協議の意義があるという人もいるが、そうであれば、ただの空騒ぎという事になり、重大な事案にも拘わらずあまりにも非生産的である。
 しかし、筆者にはどうもそうではなく、かなり突っ込んだ話し合いが交わされているのではないかと思える。

 去る8月4日、翁長知事は知事公舎に与党県議全員に緊急招集をかけて、辺野古工事を1か月間中断して国と県が集中協議に入ることを電撃発表した。その時までそのことは誰も知らなかった。新聞記者の取材力の劣化と言えばそれまでだが、あの稲嶺名護市長までがその日までは翁長知事から蚊帳の外に置かれていた。今回も表には出ないが随分と突っ込んだ話し合いがなされているのではないかと、筆者は推測している。
 あるいは、埋め立て部分は「国有地」ではなく、「県有地」にする案までが政府側から提示された可能性も筆者の想像の域内にある。
 とにかく、この問題は、最終日の「記者会見」まで待つことにしよう。

 

                    <次回は9月15日・毎月1日、15日 更新>

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