解り安く、面白く、パンチの効いた時事評論

神山吉光が吠える 題字

2015年10月15日 更新〈第43回〉

 

 

 

 翁長知事はこれで
   もう打つカードが無くなった


 10月13日、翁長知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消しを発表したその時間帯に、筆者は久しぶりに中央紙が主催する昼食会に出席していた。隣席していた60代の男性が「最近は朝起きて新聞を見るのが本当にイヤになった。怒って腹まで痛くなる時がある。」と、話し掛けて来たので急いで名刺を交換したところ、その彼は某会社の重役であることが分かった。筆者が新聞批判をしていることも知らない全くの偶然であった。彼は、翁長知事の承認取り消しの新聞報道がまたしても気になっている様子であった。

 

このままでは「新聞標語」が死んでしまう

 10月15日、今日から新聞週間が始まる。「ご近所も世界も見える紙面づくり」これはいみじくも本年の新聞週間の代表標語である。
ところが、琉球新報と沖縄タイムスはどうだろうか。「ご近所」には辺野古反対の人もおれば容認する人も多勢いる。
 しかし、両紙からは「辺野古基地反対」の記事や論調は毎日のように見ることが出来るが、他方の「辺野古移設容認」の記事や論調はほとんど見ることが出来ない。このことは本当に残念である。

 最近は多くの読者も気付きつつあるが、沖縄二紙は「ご近所」の都合のいい部分だけを読者に見せて、不都合な部分は全く見せない。沖縄の新聞からは「ご近所」の一方しか見えない。先の国連演説でも翁長知事と全く同等の条件で知事に反論する沖縄側のもう一つの国連演説があったが、沖縄二紙はほとんどそれは報じなかった。
 このような報道姿勢では素晴らしい新聞標語も死んでしまうのではないか。
 沖縄二紙は今こそ大きく目を開いて、新聞標語の意味するところをしっかりと悟って欲しいものだ。そうして初めて真のジャーナリズムが沖縄に根付いていると言える。
 仲井真弘多前知事は「沖縄二紙を指して「特定団体のコマーシャルペーパーだ」と語ったようだが今のままでは全く同感だ。

 

「産経新聞」の報道

 翁長雄志知事は13日「辺野古に新基地を造らせない」という最大の選挙公約を実現するために、仲井真真弘多前知事の辺野古沿岸部埋め立て承認を正式に取り消した。
ところが、防衛省は国土交通省に対し「取り消し処分は違法だ」として、行政不服審査法に基づき処分の無効を求める不服審査請求と、その裁決までの間、取り消しの効力を止める執行停止申立書を提出した。翁長知事は承認取り消しが認められなかった場合、工事差し止めを求めて提訴する構えであり、今後はいよいよ国と県が法廷闘争に突入することが決定的となった。翁長知事はこれでもう打つカードが無くなった。

 さて、沖縄二紙の報道は例の通りだが、産経新聞は10月14日次のように伝えている。

<沖縄県の翁長雄志知事が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消したことで、政府と沖縄県は法廷闘争に突入する公算が大きくなった。だが、政府との対決色を強める翁長氏の姿勢には地元の移設容認派や有識者から疑問の声が上がっている。
「国防は国の専権事項で地方が口を出す問題ではない。承認取り消しは理解できず非常に残念だ」。辺野古移設推進派の島袋吉和前名護市長は翁長氏の対応をこう批判した。島袋氏は「県民すべてが反対のように報道されているが、地元の辺野古の住民は8割以上が条件付きで移設を容認している」と強調。「沖縄は基地問題だけではない。国と協力しなければ振興は進まない」と説明し、政府との関係悪化による沖縄振興の遅れに懸念を示した。

 一方、安全保障に詳しい神保謙慶応大准教授は「埋め立て承認プロセスは法的に非常に固い。法廷闘争で県が勝つ可能性は限りなく低く、それは翁長氏も理解しているはずだ」と指摘。「工事をさせない期間を引き延ばし、公約実行をアピールすることが翁長氏の目的になっている」との見方を示した。そのうえで「翁長氏に勝算があるとすれば、県民の支持の盛り上がりだ。『世論戦』が最大のポイントになる」と分析。「政府は沖縄に『上から目線』の失礼な態度を取ってはいけない。感情的な反発を招けば本当に沖縄が反政府で一致してしまう」と述べた。>

 

「読売」の社説 「翁長氏は政府との対立煽るな」

 また、読売新聞は14日の社説で次のように主張している。(要旨)
 <政府との対決姿勢を強めるばかりで、問題解決への展望はあるのか。米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、沖縄県の翁長雄志知事が、仲井真弘多前知事の埋め立て承認について「法的瑕疵がある」と強弁し、取り消しを決めた。
 仲井真氏は防衛省に約260もの質問をし、その回答を踏まえて、環境保全は概ね可能と判断し、埋め立てを承認した。
 辺野古移設は、日米両政府と地元自治体が長年の検討の末、唯一の現実的な選択肢と結論づけられたものだ。翁長氏は、代案を一切示さない頑なな姿(し)勢でいる。
 菅官房長官が「関係者が重ねてきた、普天間飛行場の危険性除去に向けた努力を無視するもの」と翁長氏を批判したのは当然だ。
 
 翁長氏は承認取り消しが認められなかった場合、工事差し止めなどを求めて提訴する構えで、法廷闘争になる公算が大きい。その場合、政府は、関係法に則って粛々と移設を進めるしかあるまい。
 
疑問なのは、翁長氏が先月下旬、国連人権理事会で「沖縄の自己決定権や人権がないがしろにされている」などと訴えたことだ。
 違和感を禁じ得ない。沖縄の「先住民性」や、独裁国家の人権抑圧を連想させ、国際社会に誤ったメッセージを送る恐れがある。
 辺野古移設に賛成する名護市の女性は同じ場で、「教育、生活などで最も高い水準の人権を享受している。(翁長氏の)プロパガンダを信じないで」と反論した。
 沖縄は「辺野古反対」で一色ではない。翁長氏が政府との対立を煽るだけでは、普天間飛行場の移設が遠のくうえ、米海兵隊グアム移転なども頓挫しかねない。
 翁長氏は、沖縄選出の島尻沖縄相の就任について「基地と振興策が混同すれば、ややこしいことにならないか」と発言した。辺野古移設には反対しつつ、沖縄振興予算も確保しようという発想は、虫がいいのではないか>
 
 以上は、読売新聞の「社説」だが、どうも沖縄二紙だけの論調を見ただけでは全体の正確な判断が誤るような気がする。

 

雑誌『現代公論』冬季号で特集を検討

現代公論 秋季号

好評発売中の「秋季号」

 翁長知事は、いよいよ「埋め立て承認の取り消し」という、知事最大の権限カードを切ってしまった。

 現在編集中の小誌『現代公論』の冬季号(12月1日発売)では、今回の承認取り消し問題を「翁長知事はこれで、もう切るカードが無くなった」と題して、また、読売新聞の社説にもあるように、国連演説の問題は関係者の寄稿も精査しながら、沖縄二紙の報じなかった部分を「もう一つの国連演説」と題して、県内外の幅広い意見を聞きつつ中央誌の協力も得て特集を組んで報じたいと考えている。

 特に、国連の問題は本誌『現代公論』で扱うことで沖縄県民の判断の一助になれば幸いである。

 最後に小誌「秋季号」の〝人物編〟で参議院議員の島尻安伊子氏にご登場を願ったところ、その直後に同氏が第3次安倍内閣に沖縄相として入閣した。そのことは実に青天の霹靂だった。

 島尻大臣には沖縄県のために大いに頑張って欲しいものだ。

(以下「活字メディア回覧板」を参照)

(次回更新は11月1日。毎月1日、15日に定期更新)

 


 

  活字メディア情報回覧版  

 

『現代公論』がまたまた新聞批判を大特集

現代公論 2015年 秋季号 閣文社発行の『現代公論』では、この頃「秋季号」を発売し、またまた琉球新報、沖縄タイムスの報道姿勢を批判する「大特集」を組み発売と同時に話題を呼んでいる。

「秋季号」も売り切れが予想されるために購読希望者はお早目に最寄りの書店または、メール、及びFAXまたはお電話で直接発行所(閣文社)へお申し込みください。

 

  季刊『現代公論』秋季号   目次概況 

(B5判、60頁 650円(税込) 9月末発売)

目次

 

島尻安伊子インタビュー1島尻安伊子インタビュー2島尻安伊子インタビュー3 

   

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