解り安く、面白く、パンチの効いた時事評論

神山吉光が吠える 題字

                                          2015年11月3日 更新〈第44回〉

 

辺野古新基地反対運動

諦めの美学

  ――翁長知事は県政の柱を辺野古反対から
        沖縄21世紀ビジョンの実現、経済振興へ――

 

辺野古建設工事の呼称の問題

  辺野古建設工事の事をどのように呼称するかによって、県内外に与えるイメージが大きく変わる。

 辺野古崎沿岸部で行われている施設の建設工事のことを、沖縄二紙をはじめオール沖縄を中心とする辺野古反対派は「新基地建設」と呼称し、自民党を中心とする辺野古容認派は「代替施設」と呼んでいる。

kamiyama_20151108 また、NHKなどテレビニュースでは、わざわざ断りを入れて「普天間飛行場の移設先とされる辺野古沿岸部の埋め立て工事」と呼称している。政府の公文書にも同施設のことを全て「代替施設」と明記されているようである。

 新聞や辺野古反対派は、新しく基地を造るいわゆる「新基地建設」と呼ぶことに徹底しているが、そうであれば政府の言う普天間飛行場の「代替施設」の工事は何処へ行ったのかということになる。

 現在辺野古崎で行われている建設工事は、あくまでも世界一危険とされる普天間飛行場を移設するための施設工事であることから、筆者も確信的に「代替施設」と呼称することにした。

 普天間飛行場の移設問題はとうとう司法の判断を仰ぐことになるが、国側は裁判でも「訴状」の中で辺野古崎沿岸部の施設工事のことを「代替施設」と明記し、一方県側も「答弁書」の中で間違いなく「新基地建設」と記述するであろう。

 従って、辺野古崎沿岸部の建設工事が果たして「新基地建設」なのか、「代替施設」なのか、辺野古問題の入り口論として、裁判所がどのように受け止めるかが裁判の結果を占う上で極めて重要であり、注目点の一つでもある。

 「辺野古推進」でも知事の公約違反にはならない

 さて。掻い摘んで言うと、普天間飛行場の移設問題はすったもんだの末、いよいよ裁判闘争へと突入する公算が強まってきた。

 裁判では、おそらく、沖縄県が勝訴する確率は極めて低く、国側が勝訴するだろうというのが、司法関係者や知識人の大方の見方である。筆者もそのように思う。

 日本は法治国家であり、何人も裁判の判決には従わなければならない。そうなれば、翁長知事の「あらゆる方策を駆使して辺野古に新基地を造らせない」という選挙公約もまた果たせないことになる。

 翁長知事は、仲井眞前知事の埋め立て承認の「取り消し」の上に、更に「撤回」も検討中との情報もあるが、これもまたメディア受けはしても「取り消し」と同じ結果に終わることが明々白々である。

 翁長知事は基地問題で生産のないところに、無駄なエネルギーを注ぎ込むのをもうそろそろ止めて欲しい。

 仮に辺野古の建設工事が司法の判断によって、現行のまま推進されることになった場合でも、翁長知事は選挙公約を果たせなかったことにはなるが、それが直ちに公約違反とは決してならない。これもまた我が国が法治国家である由縁である。 

 

知事はオール沖縄内の摩擦を恐れるな

 諦めにも美学がある。それは生産のないところから速やかに脱して発想を転換することだ。

 翁長知事はオール沖縄内の摩擦を恐れることなく、普天間問題が司法の判断へと流れゆく今の状況を冷静に受け止めて、そろそろ、県政の柱を辺野古反対の一辺倒から、もう一つの選挙公約である沖縄21世紀ビジョンの実現、経済振興へとステージを移して欲しいものだ。

 翁長知事が辺野古問題だけに振り回されているが故に、21世紀ビジョンをはじめその他の重要政策がほとんど目に見えて来ないのが本当に残念である。このことは沖縄県政にとって大きな損失である。

 


 

  活字メディア情報回覧版  

11月3日文化の日。70年前日本国憲法が公布された日である。11月2日文化の日を前に、産経新聞は櫻井よしこ氏の次のような論考を登載した。

【美しき勁き国へ 櫻井よしこ】

今が憲法改正の好機

 オバマ米大統領の不決断が国際社会の混沌を深める中、日本の果たすべき役割がかつてなく明確に示されている。

櫻井よしこ 軍事大国にならずとも、自国の領土と国民を基本的に日本政府が守る体制を作り上げ、真の自立国としての基盤を過不足なく整えることに他ならない。国際社会にただ一国、国際法にかなった国軍を持たず、力で膨張する中露の脅威に目をつぶることをやめ、速やかに憲法を改正するのだ。そうして初めて私たちは国際法、自由、民主主義の価値観を掲げて国際社会に貢献するまっとうな力と資格を手にできる。長い歴史で培った穏やかな文明を介して世界に大きく貢献できるはずだ。

 内外の情勢はあらゆる面でいまが憲法改正の好機であることを示している。衆参両院で3分の2を超える改憲勢力が結集できる状態が戦後初めて生まれている。憲法改正を党是とする自民党に、これは天が与えた好機であろう。

 改正の必要性は野党各党の共通認識でもある。昨年11月の衆院憲法審査会では共産党を除く与野党7党が憲法に緊急事態条項を書き込むことに賛成した。今年6月、衆院憲法審査会における参考人選考の信じ難い不手際で状況が一変したとはいえ、審査会で圧倒的多数が一旦は合意したのだ。国益のため、この原点に立ち戻って議論を進めるのが政治家の責務であろう。

安保法制成立までに根拠のない非難が飛び交ったが、法案成立後の政権支持率はどの調査でも回復した。中国やロシアの行動を見て多くの人々は安保法制の必要性を理解しているのだ。

 そうした中、自民党は憲法改正をどう位置づけているのか。安保法制後の政治の優先課題に経済成長を掲げたのは正しいだろう。しかし、憲法はどこに行ったのか。憲法改正を自らの使命としてきた首相の下で、いまの自民党が憲法改正に情熱を抱いているとは、残念だが、思えない。

 先の安保法制の議論でも、憲法改正議論でも自民党は大事な論点を避けていないか。摩擦を恐れて核心に迫る議論を避けるとしたら、国民と心を通わせることは難しい。戦争をする国になると誹謗されたとき、自民党の憲法改正案を示して反論もできたはずだ。党の試案は9条第一項はほぼそのまま残し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇および武力の行使はしないと明記している。

 日本は、軍事力で恫喝し国際紛争を解決する国でも、戦争を目指す国でもないと断言しているではないか。

そのうえで、第二項で自衛権の発動を認めているが、それは攻撃された場合に国民を守る権利であり、戦争を仕掛けることとは全く違う。

 この改正試案を3年も前から発表している党として、自民党はなぜもっと声を大にして国民を説得しないのか。

 民間の私たちは、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を昨年10月に結成した。全47都道府県で憲法改正を進める県民の会が設立された。31の都府県議会は憲法改正を求める決議を行い、400万人を超える人々が憲法改正請願の署名に応じた。この民間の熱意に、自民党は応えているか。

 国際社会の緊迫状況を見れば、現行憲法で国民の命は守れないのは明らかだ。

 オバマ大統領は10月15日、2016年末までに完了予定だったアフガニスタンからの米軍撤退を断念し、17年1月以降も5500人規模の部隊を駐留させると発表した。続いて10月27日には南シナ海のスービ礁に築いた中国人工島の12カイリ内にイージス艦「ラッセン」を航行させた。3日後の30日には、イスラム教スンニ派過激組織との戦いで反体制派を支援するため50人規模の特殊部隊をシリアに派遣すると発表した。

いずれも世界秩序維持に向けた前向きの姿勢に見えなくもない。だが、実態は大統領の迷いと長期戦略の欠如を表しているにすぎない。

 大統領は多大な犠牲を伴う陸上戦を嫌い、陸軍の38万体制への絞り込みも検討されている。その場合、海兵隊18万人を加えても、米陸軍は中国、北朝鮮、韓国、インドよりも小規模になる。

 今後米軍は南シナ海で「数週間」航行を継続するというが、中国は決して南シナ海を諦めず米軍が監視を緩めた途端に彼らは南シナ海の領有権をさらに不動のものとするだろう。人工島は南シナ海を中国の海とする海軍基地となり、日本も米国もその脅威に直面する。

 軍事的なるものを嫌う大統領の「少なすぎる、遅すぎる」決断は、シリアにおいてもロシアとイランの力を強め、米国はアサド大統領を排除するという当初の方針さえ変更を迫られている。

 西の中国、東のロシア、中東ではイランおよびシリアの攻勢にたじろぐ状況を米国自らが作り出している。そんな状況下で南シナ海でも東シナ海でも中国が着々と地歩を固めているのである。

そうした中、ハーグの国際司法機関、常設仲裁裁判所が中国の南シナ海領有権主張は国際法違反だと訴えたフィリピンの主張を認めた。中国は裁判自体を認めないが、国際社会はその中国のやり方を認めない。法の支配と諸国との連帯が中国に対峙(たいじ)する鍵である。日本が米国と協力体制を強めながら国際社会の秩序維持に強い力を発揮すべき分野がここにある。

 発言を国際社会に反映させるには、資格と力、つまり国家の基本を成す2大要素、経済力と軍事力の強化が必要だ。後者におけるわが国の決定的な弱点が虚構に満ちた現行憲法である。憲法改正が急がれるゆえんである。

 

神山 吉光 のコメント

 まったく同感だ。
 オバマ大統領の「少なすぎる、遅すぎる」の決断、弱腰の姿勢は櫻井氏のご指摘の通りだ。そして、今が憲法改正の好機であるにも拘わらず、それ相応の動きが見られない自民党批判にも大いに共鳴したい。
 言いたいこと、書きたい、と思っていたことを櫻井よしこ氏が書いてくれた。
 久しぶりに気持ちが晴れ晴れとした。米陸軍が中国、北朝鮮、そして韓国、インドよりも小規模であることには驚きだ。

11月中旬は旅行中のために15日更新はパスして、次回更新は12月1日になります。ご了承ください。

                                  (次回は11月15日更新。毎月1日、15日に原則定期更新) 

神山吉光 沖縄事務所 〒902-0068 那覇市真嘉比3丁目14番7号(602) フリーダイヤル 0120−885−989 本人直通 070−5536−8137 FAX 098−885−4570